介護施設を始める際の物件選びについて
2019年07月11日
高齢化が進む現代社会において、介護施設は必要不可欠な存在となっています。
また近年はそのような背景から、介護施設を始めようと考える方も増加傾向にあります。
では介護施設を始める際の物件選びでは、どんなところに注意すればいいのでしょうか?
詳しく解説しましょう。
○介護施設を始められないエリアはあるのか?
介護施設の物件選びをする前に、まずは“介護施設を始められないエリア”について把握しておきましょう。
代表的な介護施設を始められないエリアとしては、“工業専用地域”が挙げられます。
工業専用地域とは、工業の業務のために設けられた用途地域のことを言い、このエリアには住宅や飲食店、学校などの施設を建てられないという決まりがあります。
介護施設も、工業専用地域には建てられない施設に含まれているため、このエリアで良い物件を見つけられたとしても、介護施設を始めることはできません。
○介護施設を始めるのに向いている立地とは?
例えば飲食店などにおける物件選びでは、アクセス環境の良し悪しも考慮するケースが多いです。
つまり、なるべく駅チカ物件を選ぼうと考える方が多いということです。
一方介護施設における物件選びでは、あまりアクセス環境のことを考える必要がありません。
なぜかと言うと、介護施設の利用者のほとんどは、すぐ近くのエリアに住む方であるためです。
したがって駅チカ物件よりも、住宅街に近い立地、高齢者が多く住む立地で物件選びをした方が、利用者が集まる可能性は高くなります。
○“居宅介護支援事業所”が多いエリアは特に狙い目
介護施設における物件選びにおいては、上記のような住宅街エリア、高齢者が多いエリアだけでなく、“居宅介護支援事業所”が多いエリアも狙い目です。
居宅介護支援事業所とは、介護の専門家であるケアマネージャーを配置している事業所のことを言い、ケアマネージャーは介護施設の利用者となる方に対してさまざまなサポートを行います。
なぜ居宅介護支援事業所が多いエリアが狙い目なのかというと、これから介護施設を利用するかもしれない方のほとんどが、この施設に訪れることになるためです。
つまり、居宅介護支援事業所が多いエリアで介護施設を始めれば、紹介によって多くの利用者を集めることができるということです。
もちろん、必ずしも紹介してもらえるとは限りませんが、利用者獲得のチャンスは確実に増えることになります。
○介護施設の物件選びにおいて重要な市場調査
介護施設の物件選びをする際は、他の業種と同じく、市場調査を行うことを忘れてはいけません。
例えば、介護施設を始めようと考えるエリアにおける介護施設の種類、数の比率が、そのエリアの高齢者の数に対して多いのか、少ないのかについては、必ずチェックしましょう。
もし調査の結果、施設が少ないことがわかった場合は、狙い目のエリアだと判断できます。
また先ほど、高齢者が多いエリアは狙い目だという話をしましたが、“人口が多いエリア=高齢者が多いエリア”とは考えないように注意しましょう。
人口が多くても高齢者の割合が少ないエリアはありますし、逆に人口が少なくても高齢者の割合は多いエリアもあります。
また介護施設の中でも、デイサービスを始めようとする場合、開業物件の周辺に融通の利く、良心的な送迎業者がいれば心強いです。
デイサービスにおいて送迎は欠かせないサービスであるため、この点についても物件選びの際はチェックしておきましょう。
○まとめ
介護施設を始める際の物件選びについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?
介護施設の物件選びには、他の業種の物件選びとは異なるポイントが数多くあります。
したがって、飲食店などの店舗における“良い立地”と言われるエリアで介護施設を始めたとしても、経営に失敗する可能性は十分にあるため、注意が必要です。