飲食店のオープン前に試算すべき数字とは

2019年06月05日

試算

飲食店のオープン前には、さまざまな数字について試算しなければいけません。
この試算が、飲食店の経営を成功させるための重要な作業となるためです。
したがって今回は、飲食店のオープン前にどのような数字について試算すべきなのか、できる限り具体的に解説します。

 

○飲食店のオープン前に試算すべき数字①開業コスト


飲食店のオープン前には、開業にかかるコストについて必ず試算します。
開業コストには、物件取得費や内装、設備費の他に、ある程度経営を安定させるまでに必要なランニングコストも含まれます。
開業コストは、500~2,000万円ほどかかるケースが多いですが、試算の際に着目するポイントはトータルの金額ではなく、自己資金をどれくらい含むのかという点です。
開業コストに自己資金をある程度含まないと、借入の際の審査に通らない可能性があるため、開業コストのうち、1/3程度は自己資金で賄うようにしましょう。

 

○飲食店のオープン前に試算すべき数字②売上


飲食店のオープン前には、売上についても試算しなければいけません。
店舗物件における席の数、回転率などから、1日あたりどれくらいの売上が期待できるかを試算します。
飲食店における1日の予想売上は、席数×満席率×回転率×客単価で計算できます。
もし、まだ席の数が明確でない場合は、物件の坪数に1坪あたりの席数を掛けることで、ある程度席の数は把握できます。
また満席率は、飲食店が満席のとき、席が埋まっているパーセンテージを表す数字であり、目安は60~70%と言われています。
なぜかと言うと、2人用や4人用のテーブル席を1人の来客が利用している場合もあるためです。

 

○飲食店のオープン前に試算すべき数字③売上から差し引かれる賃料のパーセンテージ

 

飲食店のオープン前には、売上から差し引かれる賃料のパーセンテージについても試算しましょう。
たとえ順調に売上を伸ばしたとしても、売上から差し引かれる賃料のパーセンテージが多すぎると、なかなか経営は安定しません。
したがって、差し引かれる賃料のパーセンテージは、売上の10%程度を目安にしておきましょう。
例えば予測売上が100万円の場合、店舗物件の賃料は多くても10万円までに抑えます。
ただこのパーセンテージを目安にする場合、エリアによっては極端に狭い物件しか賃貸できない可能性があることは留意しておきましょう。

 

○飲食店のオープン前に試算すべき数字④売上から差し引かれる経費のパーセンテージ


飲食店のオープン前には、売上から差し引かれる経費のパーセンテージに関しても試算します。
飲食店における経費には、主に賃料、原価、人件費の3つが挙げられます。
賃料については先ほど解説しましたので、ここでは原価と人件費にスポットを当てて考えてみましょう。
原価と人件費を合計した費用のことを“FLコスト”と言います。
Fは“Food(原価、材料費)”を意味し、Lは“Labor(人件費)”を意味しています。
売上から差し引かれるFLコストのパーセンテージは、60%程度になるように試算しておきましょう。

 

○飲食店のオープン前に試算すべき数字⑤損益分岐点


飲食店のオープン前には、必ず損益分岐点についても試算すべきです。
損益分岐点とは、売上とコストの額がちょうど等しくなるラインのことを言います。
簡単に言うと、経営において利益も損失も生まれなくなるラインのことを指し、このラインを乗り越えないことには、飲食店は赤字経営になってしまいます。
損益分岐点は、固定費÷(1-変動費率)という計算式で試算でき、変動費率は変動費(原価、パートやアルバイトの人件費など)を売上高で割ることで試算できます。

 

○まとめ


飲食店のオープン前に試算すべきさまざまな数字について解説しましたが、いかがでしたか?
飲食店をオープンさせるにあたって、開業コストについて入念な試算を行う方は多いですが、経営を成功させるためには、他にもさまざまな数字について試算する必要があります。
飲食店業界は競争の激しい業界のため、これらの試算は絶対に怠ってはいけません。