居抜きの減価償却についてのポイントは?
2018年11月03日
居抜きで新しく事業を始める際は、たくさんの費用がかかります。
居抜きにおける減価償却は、このたくさんの費用を分割するための重要な会計手続きです。
どのように計算して計上すればよいのか、また居抜きの減価償却における注意点も合わせて解説します。
○居抜きの減価償却はどのように計上すればいい?
減価償却の計算方法には、“定額法”と“定率法”の2種類があります。
多少計算式は異なりますが、どちらの計算方法でも支払うべき減価償却費、耐用年数に変わりはありません。
定額法は同じ額を費用として計上し続ける計算方法で、定率法は初年度に大きな額を計上し、年々減少していくという計算方法です。
また減価償却を計上する為には、必ず“償却率”が必要になります。
資産の耐用年数に応じて償却率は決まっており、また耐用年数の期間も資産によって細かく定められています。
居抜きにおける減価償却でポイントとなるのは、どのタイミングから耐用年数を計算するかです。
居抜きの場合は、物件を取得した日ではなく、事業をスタートさせて店舗を開店させた日を、“資産を取得した日”とします。
そしてもう1つのポイントは、資産の“元々の耐用年数”をどのように計算式に入れるのかという事です。
例えば元々耐用年数が6年の設備があり、すでに3年経過した状態で、居抜きによって取得するとします。
この場合、まず6年という元々の耐用年数から、経過した年数を差し引きます。
今度はその年数に、0.2をかけます。
この計算方法で、居抜きによって取得した資産の耐用年数を割り出せます。
上記の場合は、6-3×0.2で3.6年となります。
ちなみに小数点は切り捨てになる為、この場合は3年が居抜きで取得した設備の耐用年数という事になります。
○居抜きにおける減価償却の注意点とは?
先ほども解説したように、減価償却では資産ごとに定められている耐用年数が非常に重要です。
居抜きの場合は、建物だけでなく複数の設備を一気に購入し取得する事になる為、減価償却が難しくなります。
もし1つ1つの設備の詳細が分からなければ、1番長い耐用年数が全ての設備に当てはまる事になってしまいます。
そうなると、税金を多く支払わなくてはいけなかったり、経費として計上するまでに時間がかかったりと、色々面倒になります。
従って、居抜きで物件や設備を購入する際は、契約時点で各設備の耐用年数が分かるように、“譲渡目録”という書類を作成してもらいましょう。
譲渡目録を利用すれば、1つ1つの設備を正確に減価償却する事ができ、手間もかからず税金を多く支払う事もなくなるでしょう。
いざ居抜きにおける減価償却手続きをする際に困らないよう、事前に知識を得ておく事をおすすめします。